ソ連時代と現在の中央アジア

 書き物の関係で中央アジアの本を3〜4冊くらい、この所、大雑把に目を通しているが、ソ連邦解体後の経済的苦境や社会不安は無論だが、ソ連がこのあたりで果たした役割はすごい。ある国は余程の畜産の僻地で無法地帯、識字率は0.2パーセントのところがソ連になって識字率は百パーセントになり、農畜産業は大変発展し、ソフホーズコルホーズで、家畜や農業生産物は増え、目標の生産高をこなせば給料がもらえた。当時の日本の外交官の記述にある。女性の教育はこのようなイスラムの地域でも大変進み、男女平等の意識は広がった。文学も非常に良いものが出てきていたようだ。中国は社会主義国家としてソ連の失敗に徹底的に学んだようだが、農業ではこういうやり方に更に、土地は貸すから、生産していいものを沢山売れば売るほど儲かるというふうにしたら、喜んで稼ぐようになったと聞いている。売り手はつくようになっているのだろう。資本主義と社会主義のいいとこ取りである。中国は社会のことを考えるという伝統的な思想があるから、治世者や仕える人の倫理など、また稼ぐことに積極的な民族性などもあり、有利だったと思う。日本人も日本人としてだけでなく、東洋人、アジア人としてのアイデンティティーを持つと、明治以来の西洋や日本だけ見ていたことの反省も生まれるし、有益だと思う。私は中国や韓国の現代思想家の本を読んでみようと思っている。

 新疆ウイグルは現在は独立したほうがいいとは私は思わないし、繁栄も来ていると思うが、余り中国が感心しない時期に、いい勢力としての独立運動の伝統があったので、またラディンなどのイスラムとしてのテロ支援などもあったし、中央アジアをはじめとする外国の勢力に頼った運動や過激派にも繋がっているので、中国は新疆ウイグルで厄介な問題を抱えていると思う。

 9・11テロ後はアメリカが中央アジアに基地を作ったりしているので中央アジア諸国は米中露の綱引きとも言える状態の中にいる。権力は強権による圧政で、反体制派はアメリカに食わせてもらうしかないため、ビジネスのための反体制と見る向きもあって、一般人は無関心な中、抑圧されている状況で経済の立ち直りは十分でない。日本は援助は良くして良好な関係だが、企業は損を恐れて投資が少なく、その点では現地に不満があるようだ。